
サローネは、国際家具見本市として1961年に始まったもの。ヨーロッパの中でもデザイン発祥の地のひとつであるイタリアを、否、今や世界を代表するデザインイベントのひとつと言って過言ではない。
ここ数年、デザイン誌やライフスタイル誌で、サローネ特集を組んだ号を見ることは、特別なことではなくなってきた。
2005年以降、特に集客が多くなってきて、2008年で35万人が来場したという事実が、その人気ぶりを物語っている。
郊外のフィエラという広大な見本市会場で行われる展示と、ミラノ市内各所で行われるフオリ・サローネというイベントの双方があり、まさに“街を挙げてのデザインイベント”としてユニークな存在だ。
ファッションの領域においても、ファッション誌がデザイン特集を組んだり、セレクトショップに雑貨が置かれるようになって久しい。
ファッションとデザインのかかわりは、服のセレクトショップブームが盛り上がり、定着してきた90年代の後半あたりから一段と深まってきている。
言うまでもないことだが、パリコレとは世界のファッションデザイナーが、自身のクリエイションの粋を究めた服をコレクションショーという形式で発表し、厳しいジャーナリストの評価を仰ぐとともに、展示会を開いて世界中のバイヤーに買い付けされることで、ビジネスとしての成否を問う場でもある。
ファッションにおけるコレクション自体は、ニューヨーク、ミラノ、パリ、東京と、世界各都市で行われているものだが、パリコレが最高峰として君臨している事実は変わらない。
家具やインテリア雑貨の見本市と言えば、ミラノのサローネ、フランクフルトのアンビエンテ、パリのメゾンエオブジェなど、門外漢の私が知っている範囲は限られているが、中でもファッション関係者が注目している筆頭はサローネと言える。
今回、初めてサローネを取材してみて、グローバルな視点で厳しい評価を得る発表の場という点において、ファッション業界におけるパリコレに近いものが、サローネであると感じたのである。

ファッションでは、日本のデザイナーやブランドがパリコレに出る目的は、非常に雑駁に言って、以下の二つくらいの要素にわたる。
- ① グローバルな視点で厳しい評価を得る
- ② 世界に向けて情報発信を行う
そしてこれは、サローネに出展する日本のクリエイターや企業についても、共通して言えると感じたのである。
まずは、国内に留まらず、世界レベルでの評価を受けることだ。
欧米のジャーナリストと話してつくづく感じるのは、成否を明快に語る、しかも理由づけまで含め、鋭敏な眼差しを持った人が、日本に比べると圧倒的に多いことだ。
だから、サローネに出すということは、即、厳しい評価の目に晒される――そんな覚悟がいる行為でもある。
一方でサローネは、世界から注目を集める場であることから、強い発信力を持っている。だから、世界に向けての情報発信を行うことができる。そしてそれが、結果的に日本に向けての強力な情報発信にもつながる――そんな目的意識を持って出展する日本企業は少なくない。
これは、非常に有効な手法のひとつと言えるのである。
実際に訪れてみて、皮膚感として感じ取れるものだったからだ。
街中がサローネ一色に染まる、デザイン・ファッション業界の人が世界中から集ってくる。非常に告知力と発信力のある場なのだ。
私自身も、日本にいる時よりも知人に会う頻度が高い――既に各方面で言い尽くされていることではあるが、私にとってのサローネは、それを実感させてくれるパワフルなイベントだった。
おしゃれという意味では、やはりパリのメゾンエオブジェに芽を感じるが、歴史に支えられた重み、街を挙げてのエネルギッシュな賑々しさ、時代の大きな潮流を提案するパワーにおいては、サローネに軍配が上がる。
次回も是非、訪れて、経年で追ってみたい――私の好奇心が大きく揺さぶられたことは言うまでもない。